本書の執筆者の一人である、ある学校経営者は「学校歯科医は、歯科医であって、かつ学校の教職員でもある」ち言っている。これは、学校歯科医は単に歯科医という専門職に留まらずに、学校の教職員になったつもりで、もっと学校、あるいは学校教育そのもの、そして子どもたちの世界に積極的に関わり、子どもたちの健やかな成長発育を共に担っていこうという呼びかけにほかならない。
一方、本書の監修者である歯科医師は、歯科医師という立場を離れ、学校の保健指導や保健学習の現場をつぶさに観察した結果、学校歯科医が抱えるさまざまな課題、問題点が見えてきたと述べている。
その一つが、子どもたちの成長発育階段に応じたキメ細かな検診と予防指導である。このことにより、学校検診のみならず、外来患者として診療所にやってくる子どもたちへの対応、特に予防の在り方が大きく変わったとも述べている。
このように本書には、学校歯科医に限らず、日頃、子どもと接する機会の多い一般歯科医、衛生士にとっても、子どもたちの治療や指導を進める上で、今まで気づかなかった多くの示唆やヒントが例示されている。
歯科医師と学校職員のコラボによる本書は、歯科のみならず、広く子どもたちの保健指導にあたる学校関係者にとっても有効な情報源となり得ることは言うまでもない。