本書は日本人特有の上顎劣成長／上顎骨後退を伴う骨格性反対咬合に対し、鼻呼吸評価と上顎洞計測を基盤に、深呼吸療法と耳鼻咽喉科連携を組み込んだ包括的プロトコールを体系化した実践書である。
オトガイ帽、ナンスホールディングアーチ、リンガルアーチ、ユーティリティアーチ等の設計思想と力学を、正貌・側貌セファロ所見とともに示し、5〜6歳からの成長誘導、非抜歯主体の上顎前方成長誘導、下顎過成長の抑制、第三大臼歯抜去の適応判断へと具体化する。
以上を踏まえ、機能−形態−力学を統合し、R.M. Ricketts 先生のBioprogressive Therapyに通ずる治療哲学を臨床へ橋渡しすることで、安定したⅠ級関係の獲得と、後戻り抑制の要点を提示する一冊である。
−「推薦の辞」・「謝辞」より引用・要約−
序章 日本人特有の上顎骨後退に伴う反対咬合の効率的な治療法を求めて
１章 上顎劣成長を伴う骨格性反対咬合の治療メカニズムの改善点
２章 上顎骨後退を伴う反対咬合のメカニクスの改良と考案
N.H.A. と L.A. の改良と考案
３章 上顎骨劣成長を伴う骨格性反対咬合 Bio メカニクスの適応
４章 オトガイ帽装置による反対咬合の改善と成長変化
５章 早期の口蓋扁桃摘出と改良型 N.H.A、III級ゴムによる変化と効果
６章 U-2 type U-arch の被蓋改善メカニズム
７章 改良型 U-2 type ＋改良型 L-1 type U-arch の組み合わせ
８章 非協力、前期成長を逃した治療の経過
９章 ユニバーサルアンカーによる平衡化機能と自然成長
資料編 オトガイ帽装置の作り方
