食や栄養を通じ、健康を追求するためには、あくまでも口から食事を摂取することが基本である。単に健康食品やサプリメントに依存することは否定され、正しい食事の摂り方と栄養バランスが強調されている。
また、近年の歯科医師国家試験では歯・口腔と栄養の関連について科学的エビデンスが集積されたため、栄養学に関する試験問題が多数出題されるようになってきた。今、まさに口腔の健康をつかさどる歯科医療が、どこまで、そしてどのように貢献できるのかが問われているが、歯学部の学生教育に適した栄養学の教科書はなく、臨床の立場から問題提起をしたものも見当たらない。本書発行を契機に、「歯科栄養学」という学問分野がさらに発展し、臨床予防医学の一角を占める時代が来ることを願っている。
【CONTENTS】
第1章 歯科における食育と健康
1 歯科が栄養に関与しなければいけない理由
2 歯科疾患(う蝕,歯周病,咀嚼機能低下)と生活習慣病
3 WHOが提唱する砂糖コントロール
4 国家試験出題基準からみた知っておきたいやさしい栄養学の基礎
5 咀嚼機能評価・口腔機能評価・食形態
6 栄養サポートチーム
7 特定保健用食品
8 共生細菌の栄養学
9 予防歯科の新しい考え方 生活習慣病(NCDs)を予防するための歯科外来
第2章 保健指導を学ぶ
1 食育をキーワードにした,子育て支援活動
2 歯科が関与する Non-Communicable Diseases(NCD)の保健指導(食事・栄養指導を中心に)
3 高齢者をキーワードにした栄養指導
第3章 医科歯科連携
1 訪問診療における栄養指導
2 摂食嚥下障害と栄養