現在、デジタル機器の発展には目を見張るものがあり、日常生活におい欠かせないもののひとつになってきている。矯正治療においても、その流れは確実に浸透してきている。10年前のデジタル矯正治療は、精度的に、臨床に直接応用するには、まだまだ遠いものと思われた。しかし、5年前、アメリカのsuresmile学会に出席した際、驚愕の事実を目の当たりにした。すでにデジタルを応用した矯正治療が日常臨床で行われていたのである。しかも、人間の手技よりはるかに緻密なワイヤーベンドがロボットにより行われており、その創設者のRohit C.L. Sachdevaに会い、バイオデジタルによる矯正治療について話を伺った。
デジタルを応用することで、今までの材料中心の矯正治療から、診断、治療方針を中心とした、術者の利便性ではなく患者主体の治療へと変革することができる。すなわち、CBCTを応用すれば、今まで観察することができなかった歯根、歯槽骨まで考慮した矯正治療、さらにいつでも好きな場所からバーチャルの患者を観察でき、術者間の話し合いも用意にできるのである。
本書を通じ、デジタルを応用した画期的なバイオデジタル矯正治療を実感していただければ幸いである。