臨床家による臨床家のための本である。
特に,歯根破折症例の経験が少ない歯科医師に参考になるようにまとめた。筆者の40年余りの臨床経験をもとに,歯根破折の問題点について臨床経過に重点を置いて執筆した本である。
歯根破折の診断はつけにくく,患者も歯科医師も苦しい思いをすることが多い。できるだけ早く診断でき,歯を残せるか抜歯すべきかを決めなければ,苦しみは少なくできるであろう。著者は長い臨床経験をもとに,診断方法を検討し工夫してきたが,それらが参考になれば幸いである。
目次
<概説>
1.歯根破折の原因と誘因(“力”と“環境”)
2.歯根破折の診断法と処置法
3.歯根破折の予防
<症例>
1 加齢が主要因となるもの
2 根管治療が主要因となるもの
3 咬合が主要因となるもの
4 補綴処置が主要因となるもの
5 歯根破折歯保存症例
<臨床ヒント!>
・打診
・プローブ診査
・咬合調整
・試験剥離
・歯根破折歯の抜歯を,患者にいかに納得させるのか?・・・のポイント
・ガッタパーチャポイントによる,病巣の確認
・CO2テスト(当院使用用語;歯髄生活反応診査)
・PIP:Pressure-Indicating-Paste(MIZZY社)
・歯冠結紮法