抜歯の基準は当該歯牙の生物学的な条件のみならず、個々の症例における患者の期待値、全身的要素、性格的要素、補綴計画上の要件、経済性等を含めて考えられるべきであり、その基準はすべての症例毎に異なることは言うまでもない。
本書では、前半で歯内療法専門医の考える一歯単位の生物学的要件と患者利益を考慮に入れた抜歯基準を考察し、後半では歯内療法学的に、または、その他の要因も含めて保存が困難であったが、総合的に患者の利益を優先し、治療介入した症例を提示している。
示されている症例や内容は多面的な考察の上に意思決定がされており、患者利益を考えるすべての歯科医師にとって有益な情報源となれば幸いである。
1.歯内療法専門医が考える抜歯の基準
01 臨床における主な抜歯要因
02 抜歯基準の生物学的要因
03 意思決定を助ける難易度の分類
04 歯内治療専門医の行うカウンセリングの実際
05 医療者側のバイアスについて
2.保存的治療を選択した症例
歯牙破折
吸収
穿孔
破折器具
石灰化
エンドペリオ
根未完成
その他