“義経が残したやなぎ”から歴史を旅する
非業の死を遂げた義経が歯をみがいたという、柳の小枝の命が現代まで続いている。そのやなぎに出会った著者が、思うを巡らす論考。
千手観音の持物にやなぎの小枝があるように、その薬効は仏教伝来のころから口中清浄に用いられていたやなぎの文化を考察すると、先人たちの知恵に驚く。
そして“超薬”アセチルサリチル酸(=アスピリン)は、やなぎの樹脂から精製され、消炎、解熱、鎮痛の効果に加え、近年では抗血小板作用が認められている。
《目次》
1.義経の歯扶柳と笈入柳
2.仏像とやなぎ
3.仏教と歯木と楊枝
4.風俗・化粧文化から見えた市中の歯の清掃と楊枝
5.文言の解説
付:やなぎとアスピリンの足跡